ある女性の告発 5 ~ 被害者の「卒業」 ~
12月に暴行被害にあった女性アイドルを含む3人が、5月18日をもってグループを「卒業」すると発表しました。
そして被害女性は、本来彼女を守るべき存在である所属会社の社長から、「(あれは)不起訴になった。イコール事件じゃないということだ」と言われたこと、そしてさらに「(被害女性は)今は、会社を攻撃する加害者だ」とまで言われたことを明らかにしました。
またひとつ、彼女は大きな告発をしたのです。
どれだけの勇気が必要だったことか。
舞台から降りたあと、彼女がさらなる被害にあっていないことを祈ります。
たとえ不起訴になったとしても(悔しいことに、不起訴になる暴行事件や性犯罪が多いのですが)、それは事件がなかったということにはなりません。
明らかに被害者には被害が発生しています。
そして、再発防止のための対策を講じることは、会社の責任のはずです。
会社には、職場の環境を調整する義務や安全を配慮する義務などがあるはずなのです。
ましてや、被害者に対する「会社を攻撃する加害者だ」などという発言は言語道断であり、被害者への二次加害であり、それはパワーハラスメントです。
被害女性は、自分が被害にあったこと、それに対して職場に対応を求めたこと、対応すると職場側も回答したにもかかわらず何もなされなかったことを告発したのです。
その行為のどこが、「会社を攻撃する加害者」と判断されるものになるのでしょうか。
彼女は当たり前のことをしただけです。
確かに会社は現在、窮地に立たされています。
しかしそれは、告発をした被害女性のせいではなく、本来行うべき対応を行わなかった会社側に責任があります。
その会社の対応の悪さに対して、これまでアイドルに対して関心のなかった人たちまでも怒っているのです。
責任転嫁をしないでいただきたいと、わたしたちは大変憤っています。
この件について、「アイドルの話」「芸能界は特別」というような意見も聞きます。
ですが、アイドルや芸能界が日本の法律の外であっていいはずはありません。
わたしたちはこの事件を、労働問題であり人権侵害の問題であると認識し、これからも注視していきたいと思います。
そしてひとまずは「卒業」までの1ヶ月近くを、どうぞ無事に過ごしてほしいと祈っています。